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幼いころの思い出を結婚式に

 

小学校に上がって一番ほしかったもの

それは

「自分の部屋」

2つ上の姉がいた私は

自分だけの部屋がある姉がうらやましくて

(ちょっとだけ大人に見えていたのだろうか)

自分も小学生になったら絶対に自分の部屋をもらうんだと

2階の階段を上がってすぐの部屋をずっと狙っていたのだ

そして

念願の「自分の部屋」を与えられ

学習机や小さなタンス

そして、ふかふかのベッドがその部屋には収められた

最初の1週間ほどは自分の部屋がお気に入りの場所になり

朝 起きてもなかなかリビングに下りずにいた

自分の部屋が与えられても一人で寝るには

まだ心細くてお母さんのお布団に枕を持って

よくお邪魔をしていた

我が家のリビングは玄関の扉を開けるとすぐそこで

自分の部屋に上がるには必ずリビングを通って

行かなくてはいけなかった

自然と家族が集まる場所

それがリビングだった

あんなにほしかった自分の部屋も

気づけば寝るためだけの部屋になっていて

学校の宿題をするのもリビング

夕飯を食べた後

家族だんらんの時間を過ごすのもリビング

仲良しのお友達が来てもリビングで

テレビを見るほどだった

大人になって実家を出て一人暮らしを始めると

リビングで過ごすことなど皆無で

借りている部屋全部が自分の部屋だった

ふとした時に懐かしくなる場所

それは私にとって

家族と過ごしたリビングだった

「大切な人ができたの」

と、両親に打ち明けて

初めて彼を実家に連れて行ったときも

やっぱりリビングで過ごした

新しい記憶が大切な場所で刻まれる

その感覚が幸せだった

いよいよ迎えた結婚式

今日までたくさんの準備をしてきたが

その中でふと頭をよぎったこと

結婚式の中で大好きなリビングで家族に感謝を伝えたい

「無理だ」って断られるかとドキドキしながら

心の内をプランナーさんに打ち明けてみたところ

「いいですね!やりましょう!

きっとご両親様も喜んでくださると思います!」

と、満面の笑みで答えてくれた

結婚式当日、会場に現れたのは

家族みんなで座れるほどのソファー席

そう、私たちのメインテーブルはソファー席だったのだ

パーティー中は友人の元へ遊びに行き

一緒に食事をとりながら 昔話に花を咲かせ

久しぶりに会う親戚たちとは

「変わらないね~」

と 笑いながらたくさんの写真を撮った

そして

ついに、両親に感謝の手紙を読む時間が訪れた

緊張気味の私に

「ご実家で過ごした時間をおもいだしてくださいね」

と 優しい笑顔でプランナーさんが語りかけてくれた

大好きな両親と一緒に

ひさしぶりにソファーに座り

感謝の気持ちをゆっくり伝える

ちょっと緊張したけど

まるで 昔父親の隣で一緒にテレビを見ていたような

母親と一緒に夜遅くまで恋愛の相談をしたような

懐かしい時間が流れていた

結婚式は特別な1日だけど

変わらないものがそこにあるだと感じた

その思いはこれから先も変わらない

 

花嫁と家族|ピエトラセレーナ

 

 

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